永遠亭comacの出張版(ほぼ将棋について)

将棋についてつぶやく(腕前は超ド素人)

藤井八冠誕生ということでいろいろと

Q:八冠独占ってどれくらい難しいのか。

A:簡単に説明すると陸上競技のトラック種目を全種目金メダルとるような感じ。

 

ざっくり過ぎましたが、八冠独占って相当難しいわけで、1つ2つタイトルとるなら出来ても全部取るというのは至難の業。つまり、タイトル数が多くなるにつれてダブルタイトル戦が組まれることが多くなり、それに順応しなければいけません。

大山康晴十五世名人が全五冠独占の時はタイトル戦が被る時期はありましたが今ほどではなく1965年度当時の記録だと

名人戦 4月8日~6月4日
棋聖戦 6月9日~7月23日(前期)
王位戦 7月29日~9月10日
十段戦 10月29日~1月7日
棋聖戦 12月21日~2月14日(後期)
王将戦 1月17日~3月29日

当時、棋聖戦が年2回ありまして、羽生九段が初めて七冠挑戦の時1994年まで続いていました。そして羽生全七冠独占の時はというと

名人戦 4月7日~5月30日
棋聖戦 6月19日~7月8日
王位戦 7月4日~8月29日
王座戦 9月2日~9月22日
竜王戦 10月20日~12月13日
王将戦 1月11日~2月14日
棋王戦 2月10日~3月8日

こう見ると、たまたまかぶっていない感じがしますが、94年度はそれよりもハードです

名人戦 4月11日~6月7日
棋聖戦 6月11日~7月14日(前期)
王位戦 7月8日~9月20日
王座戦 9月2日~9月27日
竜王戦 10月18日~12月9日
棋聖戦 12月13日~1月6日(後期)
王将戦 1月12日~3月24日
棋王戦 2月11日~3月10日

そして、藤井八冠誕生した今は

名人戦 4月5日~6月1日
叡王戦 4月11日~5月28日
棋聖戦 6月5日~7月18日
王位戦 7月7日~8月23日
王座戦 8月31日~10月11日
竜王戦 10月6日~12月14日(予定)
王将戦 1月8日~3月12日(前年度の実績)
棋王戦 2月5日~3月19日(前年度の実績)

こんな感じになっていて、これが最終局までもつれると

名人戦 4月5日~6月28日
叡王戦 4月11日~6月17日
棋聖戦 6月5日~8月1日
王位戦 7月7日~9月20日
王座戦 8月31日~10月30日
竜王戦 10月6日~12月14日(予定)
王将戦 1月8日~3月26日(前年度の実績)
棋王戦 2月5日~3月29日(前年度の実績)

つまり、タイトル戦が最大3つ重なることになり、日程的にも厳しい。そのうえで全冠独占となると来年の王座戦まで大体この日程になるということ。
そして、八冠達成で今後どういう日程になるか

名人戦 4月5日~6月28日
叡王戦 4月11日~6月17日
棋聖戦 6月5日~8月1日
王位戦 7月7日~9月20日
王座戦 8月31日~10月30日
・将棋日本シリーズ 7月1日~11月19日
竜王戦 10月6日~12月14日(予定)
銀河戦 8月5日~10月31日(決勝Tのみ)
・朝日杯 1月14日~2月23日(本戦Tのみ)
王将戦 1月8日~3月26日(前年度の実績)
棋王戦 2月5日~3月29日(前年度の実績)
NHK杯 11月~2月13日(3回戦から)

過去にあった実績でいうと、2021年9月2日棋王戦本戦トーナメントあって翌日銀河戦。10日後にタイトル叡王戦の後渡辺九段に負けるというような日程を組まされるのです。これがトップ棋士の宿命であり、これを消化するのは厳しいのです。つまり、2つ3つ平行に行われている棋戦があるので順応力が必要。そして、毎回トップ棋士同士の対局が続くので普通ならこの日程をこなすのも厳しい。羽生九段が当時七冠維持できたのも半年だけで拮抗していたこともありますが、それ以上にスケジュールが大変だったのかなと思います。

現状、藤井八冠はどうか。

結論から出いうと、全冠防衛もあり得るのではないかと思います。その理由がレーティング。羽生九段の時は100~180の差でしたが、藤井八冠の場合200~300でこの数字ってこの対局者に対しても8割以上の確率で勝つということなんです。つまり、1局当たりの期待勝率がここまで高いと、しばらくは全冠防衛もあり得る話だと思います

ただ、そこでネックになることを言うと日程的な問題で、流石に公務して移動して対局してとなると普通の棋士に比べてスケジュールが大変になると思います。その分、疲労とかでベストな状態で挑めないのではないかと。

誰が初めて藤井八冠に土をつけるのか?

現状だと永瀬九段が最有力。というのも、今回の王座戦は3勝1敗で名誉王座誕生でもおかしくなかったんです。しかし、永瀬九段の特徴ってエアポケットに入ってしまったというのが目立つ場合があるのです。それが仇となって藤井八冠に奪われたのですが、その前にも伊藤七段にも同じ状況だったし、詰めが甘いから長期の目で見ると期待はできません。

となると、やっぱり伊藤七段になるのかなと思います。
こういうと失礼になると思いますが、年齢的な問題が出てくると思うんです。
永瀬王座が31歳、豊島九段が33歳。つまり、技術的にピーク時に近い状態でこれより上がるという事は望めないと思うんです。あの羽生九段も一時一冠まで後退したときは33歳でした。
それに比べて、伊藤七段はこれからまだまだ伸びる棋士で今はストレート負け喫しても、いずれ藤井-伊藤の対局が増えていき藤井八冠から初めて土付けるのも伊藤七段のような気がします。